2009年3月26日木曜日

やけどをしてしまったら (中等症から重症の方の治療)

 今日は、軽症以外のやけどの方の治療をお話しますね。
譜久山 仁の個人的な意見であることをご了承の上、治療のご参考にして下さい。

 軽症以外、というのは、
広い範囲のやけどや、熱湯、油がかかったやけど、などです。
受傷直後、の処置と並行して、病院に行く準備を進めてください。


 受傷直後 
やけどをしたらすぐに、流水(水道など)で15-20分ほど冷やします。
服の上からやけどをした場合でも、服の上から流水をかけて、とにかく冷やす方が良いでしょう。

やけどをした皮膚はとても弱く、無理に服を脱ごうとすると、皮がめくれてしまうことが多いので、
脱ぎにくい時はハサミなどで切るほうが良いです。

応急処置が終わったら、すぐに病院にかかることをおススメします。


 譜久山仁の外来では、
処置としては、ステロイドと抗生剤を混合した軟膏を塗ったラップで、やけどした部分を覆います。
化膿しないように、抗生物質の飲み薬と、痛みに対しては痛み止めと胃薬をお出しします。


 翌日から受傷1週間
受傷直後よりも水ぶくれが大きくなったり、赤くなったりすることが多いです。
処置は、受傷直後と同じですが、水ぶくれが破れたり、皮膚がふやけたりしたら、化膿する危険性が高いので、ふやけた皮膚を取り除きます。
やけどの部分は皮膚が弱く、乾燥に弱いため、処置のポイントは、皮膚にくっつかず、乾かさないようにすることです。

 ご自宅のお風呂での入浴は構いませんが、やけどした部分はラップで覆ったままお風呂に入って、 出る時にラップをそーっとはがし、ぬるま湯でやけどした部分をやさしく洗い流すのが良いでしょう。
その後、ステロイドと抗生剤を混合した軟膏を塗ったラップで、やけどした部分を覆います。
たくさんの方が入られるお風呂(大衆浴場など)での入浴は、避けるほうが良いでしょう。

 受傷1週間以降
やけどの周りの皮膚がしっかりとしてきたら、創傷被覆材での処置をすることが多いです。
重症のやけどの方は、皮膚ができる(上皮化する)まで1-2ヶ月、もしくは、それ以上かかることもあります。
病院によっては植皮を勧められることがありますが、譜久山病院では植皮をすることができないので、上皮化するまで処置を続けます。

 上皮化終了後
重症のやけどの場合、やけどの痕が目立ちにくくなるように処置をします。
飲み薬や軟膏、被覆材を使用します。
お子さんのやけどや、痕が気になる方の場合は、形成外科の先生をご紹介することもあります。

 やけどの治療は、場合によっては数ヶ月、痕が目立ちにくくする治療まで含めると半年から1年くらいかかることもあります。
主治医の先生に、疑問に思ったこと、不安に思ったことを相談できる、
また、主治医の先生から指示されたことを守れる、といった信頼関係が必要です。

 やけどの治療について、個人的な意見ではありますが、ご参考になりましたら幸いです。

 次回は、お子さんのやけどについて、お話しますね。

2009年3月23日月曜日

やけどをしてしまったら (軽症の方の治療)

 今回は、やけどをしてしまったら、どのように治療をすればよいかをお話しますね。

まずは、軽症のやけど(お湯がかかったり、アイロンが当たった程度)の治療から。
譜久山 仁の個人的な意見であることをご了承の上、治療のご参考にして下さい。

 受傷直後 
やけどをしたらすぐに、流水(水道など)で15-20分ほど冷やします。
水ぶくれができている時は、医療機関を受診されることをおススメします。
処置としては、ステロイドと抗生剤を混合した軟膏を塗ったラップで、やけどした部分を覆います。
痛みが強い場合は、痛み止めと胃薬をお出しします。

 翌日から翌々日(受傷2日目まで)
受傷直後は赤くなっていただけでも、日がたつと水ぶくれができたり、浸出液がでたりすることがあります。
水ぶくれができている時は、医療機関を受診されることをおススメします。
処置としては、受傷直後と同じです。
やけどの部分は皮膚が弱く、炎症が強いのですが、この処置ではやけどにくっつかず、痛みが少ないことがポイントです。
ご自宅のお風呂での入浴は構いませんが、やけどした部分はラップで覆ったままお風呂に入って、 出る時にラップをそーっとはがし、ぬるま湯でやけどした部分をやさしく洗い流すのが良いでしょう。
その後、ステロイドと抗生剤を混合した軟膏を塗ったラップで、やけどした部分を覆います。

 受傷3日目から1週間
この時点で水ぶくれができたり、皮がめくれたりしていなければ、やけどは早く治ります。
炎症や痛みが強ければ、2日目までと同じ処置と、飲み薬の治療を、
症状があまりなければ、軟膏の変わりにワセリンを塗ったラップで、やけどした部分を覆います。

 受傷後1週間以降
周りの皮膚がしっかりとしてきたら、創傷被覆材での処置をすることが多いです。
皮膚が弱い方では、ワセリン+ラップを続けることもあります。

 受傷後2週間以降
表面の皮が張ってきて、浸出液が出なくなる時期です。
やけどの痕が目立ちにくくなるように処置をします。
軟膏や被覆材を使用することが多いです。
軽症のやけどの方は、大体2週間くらいで治療が終わることが多いです。

 次回は、もう少し重症のやけどの方の治療について、お話しますね。